抵当権、根抵当権設定後の建物賃貸借について
2003.7.25成立2004.4.1施行
改正前の短期賃貸借制度においては、抵当権(以下根抵当権含み「抵当権」といいます。)が設定されている物件について、借主(賃借人)が短期(建物の場合は3年以内、土地の場合5年以内)の賃貸借契約を締結した場合、その抵当権が実行され物件が競売落札された(物件の所有権が買受人に移転)後でも、借主(賃借人)は買受人(競落人)に対し残存契約期間の賃借や敷金返還請求ができるものでしたが、今回の法律改正により借主(賃借人)は買受人に対しそれらの主張ができなくなりました。短期賃貸借制度が廃止され、新たに建物の明渡し猶予制度が導入されました。新しい明渡し猶予制度では、抵当権が設定されている建物の借主(賃借人)は、その賃貸借期間の長短等に関係なくその抵当権が実行されて貸主(家主)がかかわった場合であっても新たな貸主(家主)の買受け後(競落後)6ケ月間はそのまま建物に居住できます。この猶予期間中は買受人に賃料相当額を支払う事になりますがその支払いを1ケ月以上怠った場合には猶予期間そのものが認められなくなりす。また、明渡し猶予制度では買受人に対する敷金返還請求はできなくなります。元の貸主(家主)に敷金返還を請求する事は可能です。
なお、抵当権が設定されている建物を借りる場合でもその前に登記された全ての抵当権者が同意し、その同意が登記された時は当該抵当権者が買受人に契約期間終了時または更新期間終了時までの賃借や敷金返還請求が出来ます。